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知の技法| academic skills(8)

文章作成の見取り図をつくる

· 知の技法

1:「こざね法」で目次構成をつくる

 こざね法はこれまで蓄積した情報を文章によるアウトプットに変換する1つの方法です。これまでKJ法で情報を構造化することによって、自分が探究してきたテーマの全貌が見えてきたはず。ここまでの作業は川喜田二郎の定義だとKJ法A型をしたことになります。次は文章化するB型を考えてみましょう。ここでKJ法B型の作業プロセスをわかりやすく解説しているのが、梅棹忠夫『知的生産の技術』に出てくる「こざね法」です。

 こざねとは、中世のヨロイは、鉄やかわののちいさな板を、糸でつづりあわせてつくってあるが、その板のことを指します。この小さな板を縫い合わせてヨロイが組み上がるように、探究した知の体系を、今度は筋が通るように論理的に順序立てて文章にしていくのです。

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 以下に、『知的生産の技術』で解説されている手順を紹介します。

1)紙切れを用意する(全部B8判)

2)主題に関係のある事柄を、単語、句、みじかい文章で書いていく

3)思いつくまま、順序構わず、どんどん書く

4)切り抜き資料も本からの知識も書く

5)ひととおり出尽くしたら、机の上に並べる

6)紙切れを1つずつ見ながら、つながりのある紙切れを探す

7)この時、分類してはダメ

8)論理的に筋が通ると思われる順序に並べてみる

9)紙切れの端を重ねてホッチキスで留める

10)これで1つの思想が定着したことになる

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 子供の読書感想文も、学者の研究論文も、ビジネスマンの企画書も全てこの方法で、アウトプットの「見取り図」をつくることができます。ゼロから悩んで作文用紙に向かうのではなく、自分の考えの切れ端を出し切って、「筋」を見つけることが文章変換の鍵なのです。

2:「マンダラート」を使って目次を構成する

 さて、次に活用するのが「マンダラート」という思考技術です。マンダラートとは、3×3のマスで9セルの正方形を描き、その中心セルにテーマを書き、そのテーマに関する情報を周りの8つのセルに埋めていくアイデア発想法の1つです。デザイナーの今泉浩晃さんが開発した手法で、わたしはマンダラートを活用して効率的に論文や企画書を作成します。以下の図は論文の基本構造が反映されたマンダラートで、これをここでは論文マンダラートと呼ぶことにしましょう。

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 まず真ん中のセルには「論文のテーマ」を書き込みます。次に8つのセル内の質問内容に回答する形でセル内に情報を入れていきます。これは目次づくりにおける「章立て」の作業に対応します。さらにマンダラートを活用していきます。次の図を見てください。

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 第1章に該当する「なぜテーマを選んだのか?」に構成する「節」のイメージを今度は埋めていくことになります。これをすべての章に対応して書き進めると論文中で節を構成する64の情報が出てくることになります。さらにマンダラートを使います。次のレベルは文章のキーワードを入れ込む段階になります。

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 同じことの繰り返しになりますが、節の第1節に該当するセルを今度は真ん中に持ってきます。すると、この節を構成する文章のキーワードを8つ埋めていく作業を行うのです。これをすべて行うと理論上8×8×8=512の論文情報で埋め尽くされることになります。このセルに入れ込む情報は、文章だけでなく、グラフやチャート、写真なども入ります。これだけの情報は一見膨大な量だと思いますが、マンダラートを活用するとまるでクイズに答えるように穴埋めをしていくことになり、思ったほど労力はかかりません。むしろ、ここまで情報を吐き出せれば、あとは情報を見ながら並べ替えたり、まとめたり、ダブりを排除したりしてくことになります。

3:起承転結 × マンダラート

 今回の「知の技法」では、「発見」、「仮説」、「調査+分析」、「まとめ」といったシンプルな目次構成でいいかもしれないですね。そうであれば、以下の4つのマンダラートを活用すれば良いと思います。

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課題:エッセイの見取り図づくり

 manabaのレポートにアクセスして、フォーマットをダウンロードし、発見の知図、仮説シート、FBIの壁を全て見ながら、エッセイの見取り図を作りなさい。

締め切り:2020年7月12日pm10:00